日本を代表する絵本画家いわさきちひろ(1918-1974)。
ちひろは「何年も読みつづけられる絵本」をつくろうと独自の絵本表現を追求し、生涯で約40冊の絵本を発表しました。その多くは版を重ね続け、今も変わらずたくさんの人に愛され、親から子へ、子から孫へと読み継がれています。
本展では、ちひろ独自のさまざまな絵本の仕事を、原画約25点とアトリエの復元を紹介します。同時に、世界で最初の絵本美術館であり、世界の優れた絵本画家の作品を収集している「ちひろ美術館」のコレクションから、赤羽末吉、長新太など馴染み深い日本の絵本画家やアジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカなど25カ国52名の画家による絵本原画を加え、全体で約130点を展示します。世界各国の文化、特徴をもあらわす多様な絵本原画の数々をお楽しみください。
★みどころポイント★
出品作品のうち7点の作品について、それぞれのみどころをまとめました。
作品そのものはもちろん、技法や色の表現も同時に観て楽しんでいただける内容を
ぜひ会場でご覧ください。(河合)
■いわさきちひろ(1918-1974)/日本
・『あかいくつ』より ※下記作品リスト
本展のチラシにも使用されているこの作品は、
「なんかいかいても なお 工夫する楽しさを、わたしはいまだに失わない」といい、
アンデルセン童話を繰り返し描いたちひろが、特に好んだ「道で踊るカーレン」の場面です。
・《ぶどうを持つ少女》 ※下記作品リスト
ちひろが幼い頃から好きだった紫色を用い、たっぷりと水を使った水彩技法で
紫のグラデーションを展開しています。「没骨法(もっこつほう/輪郭を描かず、
形と色を同時にあらわす技法)」と「たらしこみ法」など、
驚くほどさまざまな技法を駆使して描かれています。
■長新太(1927-2005)/日本
・『キャベツくん』より
長新太が自信で”心地よい”と語る原色と柔らかな線で描かれた自然体の作品です。
■エフゲー・ラチョフ(1906-1997)/ロシア
・ロシア民話《マーシャとくま》 ※下記作品リスト
力強いデッサンに水彩とガッシュ、さらにクレヨンを使うことで重厚な色彩の美しい作品です。
■タ・ヒー・ロン(1974-)/ベトナム
・『姫君と望遠鏡』より
透明水彩の光あふれる色彩で、ベトナムの伝統的な衣装や文化をモチーフに描いています。
■エリック・カール(1929-)/アメリカ
・《くじゃく》 ※下記作品リスト
カール自らが、鮮やかに着彩した薄紙をコラージュして作られた作品です。
「色彩の魔術師」と呼ばれるカールの特徴をよく表した作品のひとつです。
■ウェン・シュウ(1976-)/コスタリカ
・『ナディとシャオ・ラン』
パナマと中国のさまざまな文化が物語として紹介されている絵本です。
パナマの伝統手芸”モラ”の技法と、中国が起源の”切り絵”を
1枚の原画の中で展開させた色鮮やかな作品です。
【関連プログラム】 ※すべて終了しました
■開催記念講演会『黒柳徹子が語るいわさきちひろ』
7月7日(土)午後2時~ 定員200名(要申込)
※詳しくは損保ジャパン東郷青児美術館HP
■ギャラリー★で★トーク・アート
ボランティアガイドと対話をしながら作品鑑賞をします。
8月4日(土)午前9~午前10時 定員20名程度(要申込)
※詳しくは損保ジャパン東郷青児美術館HP
■親子のためのワークショップ
①「ちひろの水彩技法を体験しよう!」
7月22日(日)午前11時半~午後5時(午後4時申込締切)
②「4コマ絵日記を描こう!」
7月28日(土)~8月19日(日)午前11時半~午後5時(午後4時申込締切
)
※①②ともに当日自由参加
■ギャラリートーク
<一般対象> 7月22日(日)午後1時半~、 7月27日(金)午後4時~
<小・中学生と保護者対象> 7月28日(土)午後1時半~、 7月29日(日)午後1時半~
【作品リスト】
●いわさき ちひろ 『あかいくつ』より 1968年 水彩・鉛筆
●いわさき ちひろ 《ぶどうを持つ少女》 1973年 水彩・鉛筆
●いわさき ちひろ 『りゅうのめのなみだ』より 1965年 水彩・パステル・鉛筆
●エフゲーニー・ラチョフ ロシア民話《マーシャとくま》 1965年 水彩・クレヨン
●ヘレン・オクセンバリー 『きょうはみんなでクマがりだ』習作 1989年 水彩・鉛筆
●エリック・カール 《くじゃく》 1991年 アクリル・コラージュ
●ユゼフ・ヴィルコン 『金のひかりがくれたもの』より 1997年 色紙にアクリル・インク・パステル
●ピエト・フロブラー 『動物の謝肉祭』より 1998年 エッチング・水彩
他