文化庁は、将来の日本の芸術界を支える人材の育成のため、若手芸術家が海外の関係機関等で行う研修を支援する「新進芸術家海外研修制度(在研)※1」を1967年度から実施しており、すでに半世紀を経過しました。美術分野では、そうした研修の成果発表の機会として1998年から「ドマーニ・明日展」を開始し、今年度で第22回目を迎えます。国立新美術館を会場に、天井高に恵まれた空間での大規模なグループ展で、文化庁による新進作家育成プログラムで海外に送り出した人材を、日本のアートシーンにプレゼンする機会になることを目指してきました。
今回は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック年の冒頭にあたるため、国が展開する「日本博2020」のプログラムに参画する特別版となりました。「日本博※2」関連展に共通するテーマ「自然」を受け、「傷ついた風景の向こうに/ Landscapes in Our Age: Scarred and Reborn」をサブタイトルに、多世代から精選した11名の作家によるグループ展とします。2010年前後に研修を終えた作家に加え、芸術選奨やメディア芸術祭など文化庁が関わる事業からも招き、いまの日本のアクチュアルな、かつ国際的にひらかれた自然観を浮かび上がらせます。
「傷ついた風景」「風景に生きる小さきもの」「庭へ」「自然の摂理、時間の蓄積」などのテーマ設定で、展示を構成します。
*「日本博」参画プロジェクト認証済み
※1 新進芸術家海外研修制度
文化庁では、新進芸術家海外研修制度として美術、音楽、舞踊、演劇、映画、舞台美術等、メディア芸術の各分野における新進芸術家の海外の大学や芸術団体、芸術家等への実践的な研修に従事する機会を提供しています。
研修期間は、1年、2年、3年、特別(80日間)、短期(20日~40日)及び高校生(350日)の6種類があり、平成29年度末までに、約3,500名が研修をしています。(昭和42年から平成13年度末までは、「芸術家在外研修」事業として実施。)
〇文化庁HP「世界に羽ばたく新進芸術家等の人材育成」:http://www.bunka.go.jp/seisaku/geijutsubunka/shinshin/
※2 日本博
総合テーマ「日本人と自然」の下に、「美術・文化財」「舞台芸術」「メディア芸術」「生活文化・文芸・音楽」「食文化・自然」「デザイン・ファッション」「共生社会・多文化共生」「被災地復興」などの各分野にわたり、縄文時代から現代まで続く「日本の美」を、2020年を中心としつつ、その前後の期間も含めて幅広く発信し、次世代に伝えることで更なる未来の創生を目指すプロジェクト。
〇日本博公式HP:https://www.ntj.jac.go.jp/nihonhaku/
【出品作家】
・日高 理恵子 HIDAKA Rieko
1958年生・絵画・海外研修〔1995年・ドイツ(ミュンスター、ケルン)〕
・宮永 愛子 MIYANAGA Aiko
1974年生・現代美術・海外研修〔2007年・イギリス(エジンバラ)〕
・藤岡 亜弥 FUJIOKA Aya
1972年生・写真・海外研修〔2008年・アメリカ(ニューヨーク)〕
・森 淳一 MORI Junichi
1965年生・彫刻・海外研修〔2016年・イタリア(ミラノ)〕
・石内 都 ISHIUCHI Miyako
1947年生・写真・紫綬褒章〔2013年〕
・畠山 直哉 HATAKEYAMA Naoya
1958年生・写真・紫綬褒章〔2015年〕;芸術選奨文部科学大臣賞〔2012年〕;文化庁文化交流使〔2015年・メキシコほか〕
・米田 知子 YONEDA Tomoko
1965年生・写真・芸術選奨文部科学大臣新⼈賞〔2014年〕
・栗林 慧 KURIBAYASHI Satoshi/栗林 隆 KURIBAYASHI Takashi
1939年生・写真・紫綬褒章〔2008年〕/1968年生・現代美術・海外研修〔2014年・インドネシア(ジャカルタ)〕
・若林 奮 WAKABAYASHI Isamu
1936-2003年・彫刻・海外研修〔1973年・フランス(パリ)ほか〕;芸術選奨文部科学大臣賞〔2003年〕
・佐藤 雅晴 SATO Masaharu
1973-2019年・現代美術・メディア芸術祭審査委員会推薦〔2011年〕