この春以来のパンデミックで、国内外でつぎつぎに展覧会、芸術祭、アートフェア、公演の延期や中止に直面するなど、わたしたちは深い文化的な中断を体験しました。若手中堅美術家の支援を第一義とする「DOMANI・明日展」は、再び日常への一歩を踏み出す作家たちとの連帯、共感を示すべく、「DOMANI・明日展 plus」をオンラインで緊急開催することとしました。
本展は文化庁主催による、初のオンライン企画展となります。この技術・メディアに親和性のある手法を用いる研修経験者7作家、さらにゲスト作家として青山悟を招き、いまの日本のアクチュアルな、かつ国際的にひらかれた表現と言葉をいち早く発信していきます。
本展のサブタイトルを「〈前夜〉を生きる」としました。わたしたちは今年1-2月「DOMANI・明日 2020展」のサブタイトルを「傷ついた風景の向こうに」として、20世紀以降の大きな自然、人為的災害の「あと」を現代作家の表現にみる試みを行いました。しかしながら、その開催中からコロナ禍の「予兆」に遭遇することになりました。わたしたちは「災後」だけでなく次の「災前」を――災害と災害の「あいだ」を生きている。それを「〈前夜〉を生きる」という言葉に込めて、参加作家に投げかけます。
また、展覧会ウェブサイトはオンラインならではの特性を活かしつつ、現実の美術展体験とも重なり合うようなデザインを目指します。それはこれからの美術表現の発信と共有をめぐり、さらなる可能性をさぐる試みでもあります。なお、その構築も在研経験のあるデザイナーを含むチームで臨みます。
国際的な移動や発表を前提に活動してきた作家たちが、未曽有の「ロックダウン」状態のアートシーンに遭遇するなかで準備した試みにご期待ください。
【出品作家】
・小金沢 健人 KOGANEZAWA Takehito
1974年生・現代美術・海外研修〔2001年度(3年間)・ドイツ(ベルリン)〕
433 is 273 for silent prayer 2020|映像
©Koganezawa Takehito
・田村 友一郎 TAMURA Yuichiro
1977年生・現代美術・海外研修〔2012年度(1年間)・ドイツ(ベルリン)、イギリス(ロンドン)/2016年度(短期)・ドイツ(ケルン)〕
Ars 2017|映像
Courtesy of the artist and Yuka Tsuruno Gallery
・奥村 雄樹 OKUMURA Yuki
1978年生・現代美術、翻訳・海外研修〔2012年度(1年間)・ベルギー(アントワープ)〕
東京都現代美術館とアーティスツ・ギルドの協働企画「MOTアニュアル2016
キセイノセイキ」展にてダン・ペルジョヴスキの展示空間で同氏にインタビューしたときの映像
2016-2020|映像
Courtesy of the artist and MISAKO & ROSEN, Tokyo
・山本 篤 YAMAMOTO Atsushi
1980年生・現代美術、映像・海外研修〔2012年度(1年間)・ベルギー(アントワープ)〕
I 2019-2020|映像
・山内 光枝 YAMAUCHI Terue
1982年生・現代美術、映像・海外研修〔2014年度(短期)・フィリピン(ミンダナオ)〕
潮汐 2012 – 2020|映像
©Yamauchi Terue
・加藤 翼 KATO Tsubasa
1984年生・現代美術、インスタレーション・海外研修〔2014年度(2年間)・アメリカ(シアトル)〕
Tokyo Loop 2014|映像
Filming by GHANI, courtesy of MUJIN-TO Production
・やんツー yang02
1984年生・メディア・アート・海外研修〔2013年度(1年間)/2014年度(短期)・スペイン(バルセロナ)〕
「第20回DOMANI・明日展」展示風景 2018|参考図版
撮影:荻原 楽太郎
ゲスト作家
・青山 悟 AOYAMA Satoru
1973年生・現代美術、刺繍
Everyday Clock 2020 | 参考図版
撮影:青山彩加
©︎AOYAMA Satoru, Courtesy of the artist and Mizuma Art Gallery