古今問わず、インドという国の独特な風土・文化に惹きつけられる人は少なくなく、そのなかにはリピーターとなって何度もその地を訪れてその風景や人々を描いた画家たちがいます。
秋野不矩(1908-2001)は、1962年インドの大学で日本画を指導する教員として1年間赴任したことをきっかけに、その後ライフワークとして訪問を繰り返し、風景や人々や動物などを描き続けました。初めての訪問は秋野が54歳のときで、2001年、93歳で没するまで十数回に渡り訪れました。インドとの出会いは、秋野の制作に、多彩さをもたらし、雄大な風景や慎ましい庶民の暮らしや動物などさまざまなモチーフを独特な色彩で描き出し、人気を呼びました。
西田俊英(1953年~)は、武蔵野美術大学日本画科に在学中から、再興美術院展に初入選。以後さまざまな賞を受賞するなど現在活躍の作家です。1993年文化庁の新進芸術家海外研修員として、インドに1年間留学、インドの風土に大きな影響を受けました。その後も訪問を繰り返し、人物・動物・風景を精緻に描いた作品は、どれも神秘的で聖なる雰囲気を湛えています。
本展では、インドに魅せられた2人の日本画家の作品を対峙させ響きあうように展覧することで、その視点や対象のとらえ方、描き方を対比しながら、お楽しみいただけることと思います。
■秋野不矩
秋野 不矩《朝の祈り》1988年 浜松市秋野不矩美術館 蔵
秋野 不矩《帰牛》1995年 浜松市秋野不矩美術館 蔵
秋野 不矩《廃墟Ⅱ》1989年 浜松市秋野不矩美術館 蔵
■西田俊英
西田 俊英《水汲みのマヤ》1999年 郷さくら美術館 蔵
西田 俊英《聖宿》2004年 郷さくら美術館 蔵
西田 俊英《星夜燦々》2001年 郷さくら美術館 蔵
■展覧会カタログ
展示作品を全掲載、二人が作品制作のためにインドを訪問した地図を掲載
・56ページ
・サイズ 200×215mm
・販売価格 1,600円(税込)