アートシーンへのキャリアパスとしての「メディア芸術祭」「在研」「DOMANI・明日展」
第 1 回 DOMANI・明日展の開始は 1998年1月ですが、その翌月に第 1 回メディア芸術祭受賞作品展が始まりました。文化庁が直接手掛ける展覧会として、双子のような存在です。
1998年には「芸術家在外研修制度(現・新進芸術家海外研修制度、以下「在研」という。)」に初めて「メディア芸術」部門が設置され、以後、約百人が海外研修を行いました。なかには申請段階でメディア芸術祭受賞歴を持っていたり、研修後にDOMANI・明日展に出品したり、さらにメディア芸術祭に出品して受賞する作家が目をひきます。「メディア芸術祭」「在研」「DOMANI・明日展」は、この20年で、アートシーンで必要不可欠となって来たメディアアート系の作家たちのキャリアパスとしての役割を確実に果たしています。
今回のメディア芸術祭(第24回)アート部門で大賞を受賞した小泉明郎氏は2005年度に在研でアムステルダム(オランダ)、審査委員会推薦作品の鈴木英倫子(すずえり)氏は2019年度短期でバルパライソ(チリ)での滞在経験を持っています。
参考資料:小林桂子・戸田康太「令和元年度メディア芸術分野実態調査報告書」(2020、独立行政法人日本芸術文化振興会)
「新進芸術家海外研修制度」採択歴のある作家たち
※在研派遣年度順に掲載
(氏名、派遣年度、派遣都市、派遣国、DOMANI参加回、芸術祭受賞歴順に記載)
・米正万也:2002年度派遣(タリン、エストニア)
第15回DOMANI・明日展 / 第2回メディア芸術祭 優秀賞(アニメーション部門)
・榊原澄人:2003年度派遣(ロンドン、イギリス)/
第16回DOMANI・明日展 / 第9回メディア芸術祭 大賞(アニメーション部門)
・和田淳:2011年度派遣(ロンドン、イギリス)
第17回DOMANI・明日展 / 第14回、16回メディア芸術祭 優秀賞(アニメーション部門)ほか
・田村友一郎:2012年度派遣ほか(ベルリン、ドイツほか)
第18回DOMANI・明日展 ほか参加 / 第14回メディア芸術祭 優秀賞(アート部門)
・ALIMO:2012年度派遣(タリン、エストニア)
第18回DOMANI・明日展 / 第16回メディア芸術祭 審査委員会推薦作品(アート部門)
・三原聡一郎:2013年度派遣ほか(パース、オーストラリアほか)
第19回DOMANI・明日展 / 第17回メディア芸術祭 優秀賞(アート部門)
・山口崇洋(やんツー):2013年度派遣ほか(バルセロナ、スペイン)
第20回DOMANI・明日展 ほか参加 / 第21回 メディア芸術祭 優秀賞 【菅野創・やんツー】(アート部門)ほか
・木村悟之:2016年度派遣(ケルン、ドイツ)
第21回DOMANI・明日展 / 第16回、18回 メディア芸術祭 審査委員会推薦作品(アート部門)ほか
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